Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しんらん

親鸞

吉川 英治

Lisez 親鸞 (しんらん) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 566 138 caractères · 1127 écrans

Aozora Bunko

「なにか」

「おねがいがあります」

「ほ……。菓子でもほしいか」

「いいえ、ちがいます。――お師さまは、明日、叡山へおのぼりになると聞きました」

「うむ」

「私を、連れて行って下さい」慈円は、笑った。

「叡山を、知っているか」

「朝夕、ながめています」

「うららかな日は、慈母のように、やさしく見える。だが、あのお山のふところには、どんな苦行があるか、それを、おまえは知るまい」

「聞いています。修行は、苦しいものだと、皆さまが申します」

「でも、登る気か」

「一人では、ゆかれません、お師様のお供をしてなら、どんな、苦しいところへでも、従いてゆける気がします」

「もののふの戦よりも、もっと、辛いぞ」

「そういう、苦難とやらに、この身をためしてみたいのです」

「それほどに、決心してか」

「はい」ぱちりと、範宴は、眼をみはっていった。

じっと、僧正を見つめていた。うっかり、下ろし忘れた茶瓶のふたが、かたかたと、おどった。そっと、火鉢から下ろして、

「よろしい」慈円は、うなずいた。

それまで、恐いものの前に坐っているように硬くなっていた範宴は、

「ほんとですか」よろこんで、小さい掌を、ぱちっと叩いた。