Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しんらん

親鸞

吉川 英治

Lisez 親鸞 (しんらん) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 566 138 caractères · 1127 écrans

Aozora Bunko

大地へ手をつかえて、

「知らぬこととは申せ、無礼の罪、おゆるし下さいませ」

「これこそ、あらたかな御仏の御加護と申すものでございましょう」

「館のおよろこびもいかばかりか……」

「いずれ改めてご挨拶に出向きまする」

「ああ、ほっとした」

「ありがたい」と、いってもいってもいい足りないような感謝の声をくりかえして、人々は、姫の側近くに集まった。覚明は牛の手綱を渡して、

「では、確かに、姫の身は、お渡しいたすぞ」

「はい。……それでは」と月輪家の者が代って曳いた。姫は、車の裡から、

「この車まで、いただいては」と、遠慮していった。

「どうぞ、そのまま」範宴は、姫の顔を、前よりも鮮やかに見た。

姫は、涙でいっぱいになった眸で、頭を下げた。その黒髪の銀釵はもう揺れだした軌に燦々とうごいていた。召使たちは、何分にもお館の心配を一刻もはやく安んぜねばと急ぐように、車の返却や礼のことばは明日改めてとばかり先を焦いて曳いて行った。

廻る輪の光を迅く描いて、軌は白い道に二筋の痕をのこして遠ざかった。キリ、キリ、と朧な闇に消えてゆく車の音に、範宴は、いつまでも立ちすくんでいた。おそろしい力が、今自分の信念もいや生命までも肉と魂とを引き裂いて胸のうちから引っ張ってゆくのではないかと気づいて、慄然と、われに回った眼で、雲母曇りの月を探した。