Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しんらん

親鸞

吉川 英治

Lisez 親鸞 (しんらん) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 566 138 caractères · 1127 écrans

Aozora Bunko

あの盗賊の四郎の手にかけられた上は、当然、遠国の港へ売られたか、浮れ女の群れに入って東国まで漂泊したか、いずれ泥水の中に暗い月日も送ったことであろうに、梢の顔にはそうした過去の陰影はすこしも見られない。母としてのつつましさと、妻としての落着きをたたえている顔に、明るい笑靨がうごいているだけだった。

「そうか」範宴はうれしいことに会ったと思った。そして、彼女の今の幸福はなにかと問うと、梢は、ためらいなくいった。

「お念仏でございます。良人のそばでも、子供に乳をやりながらでも、お念仏を申している日がつづいてから、不幸と思った日は一日もございません」

三

梢のそういう恵まれた姿を見たばかりではない。範宴は彼女とわかれて歩みだしながら考えた。ふしぎな事のように思うのだ。この黒谷の上人の門へ群れあつまる人々の姿にはみなその恵みがかかっている。どの顔にも歓びと生活の幸が輝いている。自分のごとく懊悩の陰影をひきずっている者はない。心の見窶らしさがあの群れの中では目立つ。

しかし、その時にはもう深い決意が範宴の肚にはすわっていた。彼の姿はやがて叡山の森々と冷たい緑の気をたたえている道をのぼっている。