Classiques japonais avec furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Lisez 親鸞 (しんらん) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 566 138 caractères · 1127 écrans
私は、峰阿弥と申すものです。どうぞ、よそながらこうとお伝え置きねがいまする」
独りで喋って、独りでうなずきながら、旅の琵琶法師は、落陽のさしている風の中を、大原道のほうへとぼとぼと歩み去った。
「なんじゃ、あの法師めは、盲というものは口賢いことをいうから嫌いだ」牛飼の男が、つぶやいた時、戯れ合っていた稚子たちが、
「あ、お見えじゃ」と立ち上った。
雲母坂を越えて斜めに降りてくる範宴の姿や、その他の迎えの人々が見え初めたのである。輦の簾をあげて、牛飼は軌の位置を向きかえた。
(範宴離山)の噂は、半日の間に、叡山にひろがっていた。ひそかに、彼へ私淑している人々だの、彼の身を気づかっていた先輩だの、また、一部の学徒の人々だのが、真っ黒なほど範宴のうしろに列を作っていた。
その人々へ対って、慇懃に、別辞の礼を施してから、範宴は、輦の中へ移った。彼の胸には、この時すでに、十歳の春から二十九歳のきょうまで、生れながらの家のように、また、血みどろな修行の壇としてきた、叡山に対して、永遠の訣別を告げていたのであったが、送る人々は、なにも気づかなかった。
「範宴御房、おすこやかに」