Classiques japonais avec furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Lisez 親鸞 (しんらん) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 566 138 caractères · 1127 écrans
「おお、みんな寄れ」と、彼が縁先へ人々をさし招いて、語り出そうとすると、一人がふいに逃げ腰になって、
「あっ、代官が来よった」と、おどおどした眼で告げた。
二
代官が来たと聞くと、百姓たちは、垣の間や裏の方から、われ勝ちに逃げ散ってしまって、縁には、親鸞ただ一人取り残されていた。
表のほうで、その時、
「上人はご在宅か」と、訪れが聞えていた。
供も連れていなかった、馬も曳いてきた様子がない、代官萩原年景は、藁草履一つの粗朴な身装で、
「上人ご在宅なれば、お目にかかりたいと存じてうかがいました。当所の支配をなす萩原年景にござりまする」と、まだ主の声もすがたも見えないうちから、年景は、荒れ果てた配所の破れ廂へ向って、いんぎんに頭を下げている。
「はい」と、親鸞は立った。ずっと出て――
「どなたで在すか」
「お忘れにござりますか、年景です。折入って、ご拝顔を得とう存じて、参上いたしました」
「やれ、ようお越された、案内もいらぬ風ふき通すこの住居、ささ、おあがりなされ」
「御免を」と、年景は身を屈めたまま屋根の下へ入ったが、この暑さに腐れている筵や、壁の穴や、屋根から洩る陽の光を見て、暗然と、そこへ坐ったまま、しばらく顔も上げ得なかった。