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にんきょうにとうりゅう
任侠二刀流
国枝 史郎
「名古屋新聞」1926(大正15)年5月24日~12月26日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 224,569 字 · 451 页
ジリジリ迫る恋の手管
そこが付け目さ、けっく幸い! そろそろ仕事にかかろうかね。さあてどのへんから切り込んで行こう」
またも聞こえる水調子。――
※(歌記号、1-3-28)翼やすめよ禿松
「おや、おかしいねえ、あの唄声、妾にゃア何んだか聞き覚えがあるよ」
八重梅耳を澄ましたが、ブッと吹き出したものである。
ジリジリ迫る恋の手管
二階から聞こえる河東節、耳を澄ました荻野八重梅、ブッと吹き出したものである。
「燈籠もいらず掻き立てず、それからズッと後へかえり、翼やすめよ禿松、オヤオヤそうするとあのお客さん、ひどく玉菊が得意だと見える、随分ああいうお客さんがあるよ、小唄一つだけ知っていて、それだけ唄うお客さんがね。……玉菊だけが大得意! 聞き覚えのあるあの唄声! これなら妾にだってすぐ解る、一座の阪東薪十郎だあね。……だがそれにしてもあの薪公、妾がここにいることを、知っているんじゃアないかしら? ……ちょっとこいつはあぶないぞ! ……いやらしく妾に付きまとうあいつ! 曰がなけりゃアならないねえ」
ちょっと考えたものである。
「まあいいや」と気を変えてしまった。
寝ている幹之介を見下ろしたが、