轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
かんかんむしはうたう
かんかん虫は唄う
吉川 英治
「週刊朝日」1930(昭和5)年10月号~1931(昭和6)年2月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 91,006 字 · 182 页
扉が開いた。
シャンデリアに曇っていたいっぱいな煙草の煙が、そこからはいる夜の風に、美しくかき乱れた。理平は、扉口に立った騎手の島崎と、夫人と姪とに気がついて、
「――遅かったじゃないか」
と、踊りをやめた。
「だって、島崎さんをこっちへ奪って来るにはたいへんな努力ですわ。ねえ、女将」
「そうですとも」
千歳の女将は、調子をあわせて、
「ひとつ、お客様たちへ、ご紹介してあげてくださいな、島崎さんを」
だが、その労をまたずに、島崎のすがたを見出すと、幾組かの踊りは、みんなステップをしずめて、島崎のまわりになだれて来た。そしてきょうの見事な騎手ぶりを外人特有な誇張さをもって賞めたたえた。芸妓たちも、客たちへの遠慮を忘れて、みんな、島崎の注意を欲するように、そばへ寄りたがった。
「島崎君。この次の機会には、ぜひ、わしの持ち馬に乗ってくれんかな」
「あのサラのクンプウですか」
「そうじゃ、君が一鞭いいところを乗って優勝してくれたら、うんと呼び値があがるな」
「機会があったら、ぜひ、試みましょう」
「こんどのには、だめかの」
「一、二年は、私の手もとに、お預かりしてみなければ」