轻松读懂日语经典作品
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かんかんむしはうたう
かんかん虫は唄う
吉川 英治
「週刊朝日」1930(昭和5)年10月号~1931(昭和6)年2月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 91,006 字 · 182 页
「誰も捨てる気じゃないけれど、宝石や時計を密輸入する時は、艀舟の底に穴をあけておいてそこから水のはいらないようにゴムの袋を、舟底へぶら下げておくんだよ。税関の監視や、水上署に捕まって、いくら舟を調べられたって、しろ物が、舟底から、水の中に沈みこんでいるのだから、分りゃしないやネ。それを、いい気になって、何度もやっているうちに、谷戸橋の辺は、河が浅いから、そのゴム袋を、何かに引ッかけて、破ってしまったのさ。おまけに、運わるくあの向う河岸には、税関の見張所があるから、きょうまで、引揚げることができないでいたンだよ。――けれど、まさかそこへ、監獄馬車がとびこんで、それから、見つかろうとは思わないから、悠長に構えこんでいたものサ」
――聞いているうちにも、しじゅう動いているトム公のすばやい眼が、居留地を巡回する警官のすがたを四ツ辻に見つけて、
「いけねえ、木刀が来たよ」
お光は、ちょっと振り顧ったけれど、まだ落着いて、
「李鴻章に、首でも縊られると、わたしだって、お小費いに困るからね」
そう言って、さっさと、曲がって行った。
トム公は、すぐに、彼方の煉瓦の建物へ貼りついて、巡査の行動をながめていた。