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あすはてんきになれ

明日は天気になれ

坂口 安吾

「西日本新聞 第二四九四六号~第二五〇四六号」1953(昭和28)年1月2日~4月13日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 114,679 字 · 228 页

青空文庫

こういうシャレが実在しては、お前の趣味は? ときかれても、バカバカしくて、それではと返事をする気になれないのが当り前であろう。また、きく方も、きく方だ。

しかし、突きつめればそういうものではあるが、何事につけても「二番目が酒です」式では人生花も実もない。造った物はこわれる。人間は死ぬ。色即是空。これじゃ出家遁世する以外に手がない。

「与太郎じゃねえか。大きくなったな。いくつになった?」

「きいて、どうする」

「年ぐらいきいたっていいじゃないか。そう、そう、今度中学校をでたってな。お前、なんになる」

「死ねば白骨となるな」

「止しやがれ。当り前じゃねえか。子供てえものは大人になったら何になりたいてえこと考えてるものだ。お前は何になる?」

「何になるったって、してくれなかったら、どうする。オレが何になるか、方々の試験官に問い合わしてくれ」

「ヤな小僧だな。何になりてえか、てんだ」

「王様になりたい」

これでは花も実もないというよりも、個性がないというべきだ。煎じつめればそういうものであっても、人間には個性というものがあって、その特別の限界の中で諸条件に相応した独自のものがなければならぬ。