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あすはてんきになれ

明日は天気になれ

坂口 安吾

「西日本新聞 第二四九四六号~第二五〇四六号」1953(昭和28)年1月2日~4月13日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 114,679 字 · 228 页

青空文庫

山里の悲劇

上州沼田というところは、講談本では真田氏の城下として名高い。真田昌幸に二子があり、弟が有名なる幸村であるが、沼田は兄の方の居城である。豊臣残党と徳川方と対立したとき、昌幸は苦心のあげく、兄を徳川方に、弟を豊臣方にそれぞれ敵味方に組をわけた。こうすれば、どっちが負けても、真田という血統は存続するわけだ。これもずいぶん涙ぐましい苦心と云わなければなるまい。もともとこういう涙ぐましい歴史の土地だ。

いま、上越線というのが、ここを通っている。フシギな駅である。車窓から眺めると、一方は赤城山につらなる七、八十メートルの丘陵で、一方は利根川だ。利根川もこのへんは上流で、水青く神秘な色をたたえている。まことに景色はよいが、町の姿はどこにも見えない。

「沼田って町は今はなくなったのかい」と誰しもフシギに思うが、実は七、八十メートルの切り立った丘の上へ登ると古い町が現われてくるのである。昔ながらの古い町の姿である。

この古い町にもパチンコ屋ができた。そして御多分にもれず、山里のアンチャンが集まってきて、朝っぱらから夜おそくまでワキ目もふらずチンジャラジャラとやっている。