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あすはてんきになれ

明日は天気になれ

坂口 安吾

「西日本新聞 第二四九四六号~第二五〇四六号」1953(昭和28)年1月2日~4月13日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 114,679 字 · 228 页

青空文庫

二番目は酒

原子バクダンというものが人間の頭上に落ちたのは後にも先にもこの国だけだが、この楽天国の人間は悠々虚心タンカイである。

二番目は酒

お前サンはどんな酒や料理が好きか。そんなことを問い合わしてくる雑誌新聞などが少なくない。お前サンの趣味は何か、という質問が一番多い。

「なにイ。バカにするな。オレの趣味はモロモロあるぞオ」

と言って威張り返るわけにもいかないからもっぱら返事をださない。

江戸の小咄に、

「コレ、長吉。人間にはそれぞれ好き嫌いがあるてえが、お前が好きな物はなんだ」

「エッヘッヘ」

「イヤな笑い方だな。ハッキリ云ってみな」

「ヘエ。二番目が酒です」

このシャレはなかなか上等である。大ゲサに云えば、哲理的な味もある。

二番目は酒、で一番目の分るところが絶妙である。「なるほど。シャレの手としちゃア、気がきいてるぜ。よーし、オレもやろう」

というので、二番目を言っただけで一番目がピタリという奴はほかにないかとウの目タカの目で探しても、オイソレと見つかるものではない。シャレは類型をさがして、お手本に似せようと心掛けるようでは、もうシャレ本来の精彩を失ってしまうものだ。