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あすはてんきになれ

明日は天気になれ

坂口 安吾

「西日本新聞 第二四九四六号~第二五〇四六号」1953(昭和28)年1月2日~4月13日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 114,679 字 · 228 页

青空文庫

春の訪客

「君は勝手にオレの弟子を称するが、作品を書いたことがあるのかね」

「作品なんか、どうでもいいんです」

三十分ぐらい居たかと思うと、彼はたちまち風のように去ってしまった。もう入学して五、六年になるが、まだ大学生のようであった。

「そんな世話のかからない弟子がいるもんかねえ」

と友達がうらやましがっているのである。

春の訪客

陽気のせいで例年のように愛きょうのある訪問客がくる。先日は二人連れでやってきた。三十前くらいの二人連れだが、色の浅黒いがっちりした方が蒼白なやつれた男を紹介しながら、

「これが京マチ子にほれましてね。映画を見たことはないんですが、雑誌の表紙の京マチ子にほれましてそれからずっと思いつめて仕事もやめてしまったのです。この男の心境をきいていただきたいと思いまして」

「そんな心境はききたくないよ、早く精神病院へ入院させなさい」

「つきましては先生にオクリモノを差上げたい。私たちはシシュウを商売にしておりますからシシュウを差上げたいと思います」

「つきましてはって何についたつもりだね。どうも何もついたところがないようだから早く帰ってぐっすり寝なさい」

「つきまして……つまりそれは」