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あすはてんきになれ

明日は天気になれ

坂口 安吾

「西日本新聞 第二四九四六号~第二五〇四六号」1953(昭和28)年1月2日~4月13日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 114,679 字 · 228 页

青空文庫

空とぶ円盤

しかも、白番の呉清源が三目勝ってしまったのである。あとで本因坊の感想によると、敗因は呉清源の目がパッチリした三日目になって生じたものではなく、第一日目の封じ手が悪かったということである。この封じ手に本因坊はこりにこって、複雑な手を打った。

居眠りしている呉清源は、その悪条件とニラミ合せて、はなはだ分り易い割り切れた石ばかり打ってるのに、睡眠十分の本因坊はこりにこり、考えに考えて自分でもハッキリ分らないような面倒な石を打った。

だいたい自分でもよく分らないような複雑な手を打つことが、いかなる場合においても負けの要素かも知れないが、眠り男を相手にして、こりにこり考えに考えて負けたというのがおかしくてしようがない。私は敗因を説明するヒョウヒョウと仙人じみた本因坊と向いあいながら、笑いがこみあげてきてしようがなかった。

空とぶ円盤

昔はあの山に人を化かすタヌキがでるとか、あの村には人魂がとぶなぞといった。

今日では、空とぶ円盤が村の上空を通って行った、なぞという。

いつの時代を問わず、人生の景物のようなものがあって、半分怖がったり、薄気味わるがったりしながら、実は結構そんなことで人生に興を添え、また人生をたのしんでいるのである。