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あすはてんきになれ

明日は天気になれ

坂口 安吾

「西日本新聞 第二四九四六号~第二五〇四六号」1953(昭和28)年1月2日~4月13日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 114,679 字 · 228 页

青空文庫

悲劇のままの城趾

みたいなぞとふと思うことがある。

私は元来メン類が好物であるが、日本の物は淡泊すぎ、支那のはしつこく、チャンポンがちょうどよい。

けれども、チャンポンをなつかしむ思いのうちには、味覚はさておいて、あの巨大な量と、それをペロリペロリと平らげてゆく食慾の爽快さ、巨大な量を軽くあしらうように平らげてしまう落付き払った食慾の快味などをなつかしむことも強いのだ。ザルソバやラーメンには、そういう快感は思い描くことができない。

豊富な量と旺盛な食慾。それは私が少年期すぎて失ってしまったものでもある。

悲劇のままの城趾

私はたしか昭和十六年であったと思うが、天草島原の乱を調べにそのゆかりの土地を見て歩いた。そのとき、原城の跡がほぼ原型のまま畑になっているのに一驚したのであった。

もともとこの城は天草四郎が立てこもったときにすでに廃城であった。

新しく島原城を築くために有馬の原城をとりこわし石垣などを島原へ運んで新築の城の石垣に用いた。

したがって、原城の方は城の建物や石垣が取り去られて、丘だけが城の姿をとどめていたのである。

天草四郎はここへ籠って、バラックの城をつくり、失われた石垣の代りには竹矢来や木柵をめぐらした。