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あすはてんきになれ

明日は天気になれ

坂口 安吾

「西日本新聞 第二四九四六号~第二五〇四六号」1953(昭和28)年1月2日~4月13日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 114,679 字 · 228 页

青空文庫

ビラまき飛行機

はじめのうちは赤犬は食えるそうだなどといわれていたが、またたくうちに白犬も黒犬もいなくなってしまったのである。広い焼野にはもう犬もいない。瘠せた人間がいるだけだ。お天気がうららかだ。いつもさんさんと太陽が輝いている。そして雑草だけが青々としている。太陽と雑草と瘠せた人間、そこから育った現代である。

ビラまき飛行機

近ごろは戦前と同じように日本の空を広告のビラまきの飛行機が景気よくとぶようになった。一昨年の元旦のことであるが、私は某新聞主催の終戦後初のビラまき飛行機にのった。御承知のように、終戦後はずっと日本人が飛行機を所有することも、とばすこともできない定めになっていて、日本の旅客機も許可されていなかった。その年の秋ごろ日本の旅客機が許可ときまって、そのハシリの意味で、某新聞が元旦に東京、大阪間の貸しきり飛行機をとばせる許しをうけた。終戦後日本人を満載した初の飛行機上から、東海道をビラをまいて通ろうという趣向だ。DC4型という四発の一番普通の旅客機であった。

その日の乗客は高峰秀子、乙羽信子というようなキレイドコロをはじめとして、当時巨人軍の青田君だの、大臣だの、その他私の知らないダンナ方がたくさん乗っていた。