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あすはてんきになれ

明日は天気になれ

坂口 安吾

「西日本新聞 第二四九四六号~第二五〇四六号」1953(昭和28)年1月2日~4月13日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 114,679 字 · 228 页

青空文庫

炭坑の偉業

こうして仁侠に富むデブチャンにだけは益々見放されることがなく、非常に彼を憎みまた軽蔑している女房のもとへ悪酒を盗みに忍ぶようなことをして三が日をともに祝った。

ところがこのデブチャンは天下に稀れな働き者で、二日の早朝にはもうちょっと座を立って浦安から小魚や貝を仕入れてきて、半分は愛人に与え、半分は夕方ちょっと座を立って商いをしてモウケてくる。

しかも女房と愛人に徹底的に軽蔑されていたのである。

こうして新年の三日間デブチャンの悪酒のフルマイをうけて半死半生となった私は、たしか四日朝、九州の炭坑へ石炭増産週間の一役をかって、膝のさけたズボンをはいて関門トンネルをくぐった。

炭坑の偉業

私のような無名の三文文士が戦時中の石炭増産週間の一役をかうとはおよそ柄にない話であるが、大井広介が北九州の某炭坑にユカリの人物で、彼は石炭増産週間につき中央の文士を炭坑夫の慰問ゲキレイに派遣するよう頼まれたが、然るべき文士にはたのまず、お酒や食べ物に不自由している友人のノンダクレや食いしんぼうを選んだのである。

そこで檀一雄、半田義之、南川潤に私というテアイがヨシクマ炭坑その他へ姿を現すこととなったのである。