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あすはてんきになれ

明日は天気になれ

坂口 安吾

「西日本新聞 第二四九四六号~第二五〇四六号」1953(昭和28)年1月2日~4月13日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 114,679 字 · 228 页

青空文庫

木炭の発明

うちのロービョーがちょいと正体不明の病気でヨチヨチしているから、お前ンとこの神薬を一服やってみたいと思うが」

「なんだい、ロービョウーってのは?」

「学がねえな。老いたる猫だ」

いろいろな狼藉者が現れて、ウチの神棚を騒がせる。そのたびに効能書を一読して、

「こッちの英語の効能書にこう書いてあるぜ。尚他の何病に利くや見当がつかねえから、新病を治した者は報告してくれとあらア。よーし、ウチの婆アにのませて、四十五年来の眼病を治してやろう」

と持ち帰る奴もいる。しかし、まア、とにかく病気が治って結構な話である。

木炭の発明

伊豆の伊東で八畳六畳四畳半というたった三間の家に住んでいて、それでも寒くて仕様がなかった。

東京から遊びに来た人は伊東は暖いというけれども、住んでる人間には比較がないから暖さは分らない。肌に感じるのは冬の寒さだけだ。むしろ伊東の冬は暖いだろうと当にしていただけに寒さがこたえたのである。

ところが上州赤城山麓、冬のカラッ風で有名な土地へ越してきて、今年は生れてはじめての寒さ知らずの冬をすごした。

寒いにきまった土地であるし、私の借家というのが土地第一の旧家の母屋で十八畳十五畳という部屋ばかりである。