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あすはてんきになれ

明日は天気になれ

坂口 安吾

「西日本新聞 第二四九四六号~第二五〇四六号」1953(昭和28)年1月2日~4月13日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 114,679 字 · 228 页

青空文庫

解散列車

興行の最後的な革命が現に行われているわけだ。

解散列車

それは昭和二十三年十二月三十一日のことであったと記憶するが、その朝七時ごろ東京駅発の急行で私は京都へ旅立った。小説の中に京都弁の必要が生じたためである。

当時は物資窮乏の時代だから、年内は車内暖房を行わないことになっており、霜をふんで駅へ駈けつけた私はガタガタと車内ではただふるえ通していた。

ところがこの列車は――すくなくとも私の乗っていた一両は全然寒さ知らずの怪漢によって占領されていたのである。怪漢とはいうものの、実は御婦人もいる。

その御婦人は体重二十貫以下ではあり得ない。おびただしい荷物を書生風の男どもに持ちこませて車内に鎮座したが、よほど旅なれているものと見え、ただちに毛布をだして腰から下にまいて坐ると、おびただしい荷物の中をかきまわして点検をはじめた。

別に見たいわけではないけれども、私の筋向いだから、自然に見える。カマボコだかツクダニだか菓子だか知れないが、同じ包み物がそれぞれ何十となくぎっしりつめこまれている。

「あんた、これ、いくつ買った?」

書生にきく。書生がへどもどして返答すると、指おり算えて、それじゃいくつ足りない、ダメじゃないの、とブツブツ云っている。