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あすはてんきになれ

明日は天気になれ

坂口 安吾

「西日本新聞 第二四九四六号~第二五〇四六号」1953(昭和28)年1月2日~4月13日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 114,679 字 · 228 页

青空文庫

酒豪日本一

高田保は奇蹟と云われながら何年も生きて仕事をつづけていたが、彼もケンタンそのものだった。要するにエネルギーの補給源は胃袋で、胃袋が病的なのが何よりも病的なのかも知れない。人間はケンタンでなければならないと痛感したのである。

酒豪日本一

私が今までつきあった酒友を通観して、全体的に酒豪が多いと思うのは、力士と海軍々人である。同じ軍人でも、陸軍に比べて海軍々人は底のぬけたところがあって、酒においても底なしの感がある。また同じ船乗りでも、商船の船乗りは酒よりも雰囲気や女をたのしむ通人的な資性があるが、海軍々人ときてはただもう傍若無人に酒を浴びる風情で、あくまで勇壮カッパツである。彼らの身体は云い合したように骨ぶとで、顔や手は赤銅色で、身体の構造が酒を浴びるようにできているようだ。

酒豪は極まるところ容積の問題だから、角力取に酒豪が揃っているのは当り前だ。彼らの話をどこまで信用してよいか分らないが、今も話に残っているのは戦争中大関をとっていた五ツ海で、一晩に一斗のんだと云われている。彼は身体の幅がバカに広くて、まるでツイタテのような大男だったから、胃袋の容積が超特別であることは想像できるが、一斗のんだかどうか私が見たわけではないから請合えない。