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あすはてんきになれ
明日は天気になれ
「西日本新聞 第二四九四六号~第二五〇四六号」1953(昭和28)年1月2日~4月13日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 114,679 字 · 228 页
最も健全な夢の国
最も健全な夢の国
信州松代藩主に真田幸弘という殿様があった。
家来の一人に大そう小鳥好きがいて鳥カゴに小鳥を飼って愛玩していたところ、ある日殿様に呼出され、ちょうど鳥カゴと同じようなカゴの中へ入れられてカギをかけられてしまった。
時間が来ると誰かが水とムスビを差入れてくれる。やがて殿様が現われて
「どうだ、外へ出たいか」
「はい、出とうございます」
と家来はポロポロと涙をこぼして答えた。
「そうだろう。出たいであろう。お前は小鳥を鳥カゴへ入れて愛玩しているそうだが、小鳥の身になってみるがよい。今のお前と同じことだ。どうだ、わかるか」
「ハイ。よく、わかりました。さっそく小鳥を放しますから、ゴカンベン下さいまし」
「それならば今回は許してつかわす」
と放してもらったそうだ。この殿様は名君のホマレ高く、その名君の業績を臣下が録して世に残した本に『日暮硯』というのがある。この話はその本の中に名君のホマレ高い行いの一つとして述べられているものだ。
今の世にこれを名君と思う人はある筈がない。天下のバカ殿様と思うに決まっている。
ところが『日暮硯』という本はなかなか愛読された本で、戦争中には大衆向きの文庫本の中にまでこの本が印刷されていたものなのだ。