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あすはてんきになれ
明日は天気になれ
「西日本新聞 第二四九四六号~第二五〇四六号」1953(昭和28)年1月2日~4月13日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 114,679 字 · 228 页
だからそのとき鎌倉の様式が採り入れられたのかも知れぬ。
鎌倉といえば、武家時代。男の力だけが物を云う時代で、まさに女が完全に名なしの「女」にすぎなくなったのは、この時代に於てであったろう。
ところが、小説というものは事実を伝える学問とは違って、無い物は無いでは済まないのである。
信長のおッ母さんや、お嫁さんや、お妾さんや、娘さんぐらいになると、どうしても名前をつけなければならぬ。
「コレ、何々院何々大姉よ」
と云って戒名で呼ぶわけには参らない。私の恋しい織田信長サンのお嬢サンよ、という恋文を書かせるわけにもいかない。
そこで、どうしても、いい加減の名前をでッちあげなければならないのである。
ところが、女の名前は完全に不明也ときまっていればノンビリとデタラメの名前をでッちあげて落付き払っていられるけれども、思わぬところに本名がでていることもあるから、どうも後味がよろしくない。
何とか軍記というような後世の俗書などに何々院何々大姉がちゃんと生きた人間の名前で恋を語らっていることもあるから油断ができないのだ。
もっとも、何とか軍記の作者もおそらくデタラメにつけた名だろうと私は思う。