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あすはてんきになれ

明日は天気になれ

坂口 安吾

「西日本新聞 第二四九四六号~第二五〇四六号」1953(昭和28)年1月2日~4月13日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 114,679 字 · 228 页

青空文庫

そこが相撲の愛嬌である。大きな男がせまい土俵から一足出ると負けなのだから、幼稚園以下の遊びである。それをよりぬきの大男が技をねり業をこらしてやるところに益々愛嬌があろうというものだ。

勝敗判定のルールも子供なみで、立派に相手を寄り倒しても、足の指先が土俵からチョイと出たために負けたりする。これを「勇み足」という。可愛い名だ。何々山勇み足で負け、という。名で慰めているようなところが、ガンゼない子供をあやしているようでおもしろい。

野球のような近代スポーツでも、死球をくらったのにそれがバットをこすったりするとアウトになる。痛い思いをしてアウトになってはマシャクに合わない話だけれども、だいたいスポーツは御愛嬌で、そう合理的にいくものではない。相撲は特別御愛嬌である。

相撲の愛嬌のうちでも私が一番好きなのは「うっちゃり」という手である。これぐらい勝敗判定のモーローたる規準はめったにない。実際の組打ちの場合、あれからどっちが勝つだろうかと考える。

ボクシングでもレスリングでも柔道でも、一応きまったところで勝敗がつく。実際の組打ちとしてトコトンの勝敗は分からないかも知れんが、一応はキマリがついている。