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あすはてんきになれ
明日は天気になれ
「西日本新聞 第二四九四六号~第二五〇四六号」1953(昭和28)年1月2日~4月13日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 114,679 字 · 228 页
そういう賑やかな日のこと、女中がきて、
「団体で賑やかでお仕事におこまりでしょう。ウチの隣りが松井石根大将のお宅で、庭づたいに往復できます。こういう時の用意にウチでお借りしてありますので、よろしかったらお使いになりましては」
という。それでは、と私は引越した。
私は例の温泉別館のデンで、松井石根大将の家を旅館が借りとって自由に使用してるものと考えて引越した。ところが、そうではなかった。
まだ家族がそこに住んでる。私が通されたのは大将の書斎とおぼしき一室であったが、そこもそっくり大将が住んでたままの調度があって、いつ大将が巣鴨から出獄してきてもすぐ使えるようになっている。当時大将はまだ巣鴨に入獄していた。私もいささか毒気をぬかれたていで、
「君のウチの別館かと思ったら、まだ大将のウチじゃないか」
「ええ。でも、いつお借りしてもよろしいような約束になっております」
「ここを使うのはボクがはじめてだね」
「ええ、まア……」
といって、女中は言葉を濁したが、私の前に久米正雄氏もここへ案内されたことがあったが、一日で逃げだしたという戦歴があったのである。
別荘ならばともかく、本宅である。