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あすはてんきになれ
明日は天気になれ
「西日本新聞 第二四九四六号~第二五〇四六号」1953(昭和28)年1月2日~4月13日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 114,679 字 · 228 页
実は普通の料理を虫や蛇の形にしただけのことだそうだ。飛行機のりの猛者は喜ぶかも知れないが、よい趣味ではない。私は友人の飛行機のりからその話をきいただけでウンザリして、誘われたけれども行く気持になれなかった。
ところが一昨年、ふとしたことで飯能へ行って、どうしてもそこで中食をたべる必要にせまられたとき、土地の自動車の運転手が案内したのが「山の家」だ。天覧山という飯能の名所の地にあるのである。
私はそこへ到着して、もっぱら山の幸を供する料理屋であるときいて、さては例の芋虫のウチだなと思いだした。
今ではもうワンのフタをあけても芋虫や蛇がトグロをまいているようなことはない。サツマ芋の中においしいうま煮をつめてきたりして、アベコベにとても気がきいている。
いかにも山の物ばかりだ。この土地にふさわしい季節の山の物である。山の野菜、山の肉。どの料理も手数を省かずによくギンミした風情で、味もよろしいばかりでなく、一皿の量が少量なので酒飲みには大そうよかった。
その代り少量ずつの料理が、次から次へ十いくつも現れてきて、それぞれ風味に変化があって、うまかった。飛行機のりの猛者が賞味したのは、あながち芋虫や蛇がトグロを巻いているせいだけではなかったらしい。