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あすはてんきになれ

明日は天気になれ

坂口 安吾

「西日本新聞 第二四九四六号~第二五〇四六号」1953(昭和28)年1月2日~4月13日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 114,679 字 · 228 页

青空文庫

呉清源と本因坊の試合場へ乗りこんできて、大胆不敵とも何とも話にならない。総理大臣や代議士ならバカヤローと叫ぶかも知れないが、私はこの女の子にケムにまかれて、生きた漫画にされたような感であった。私が編輯者にケムにまかれたのは、この御婦人の場合だけである。

この婦人記者にケムにまかれたせいではないけれども、その後私は碁と遠ざかって、時々行われる文士仲間の碁会にも出席したことがない。昔は私が誰よりも熱心で、その次が豊島与志雄、尾崎一雄両氏であったろう。

文士の碁は勝敗にタンタンとしていてネバリがないから、よそと試合すると必ず負ける。将棋の連中、医者のクラブ、弁護士クラブ、木谷会などというのに連敗して、一度も勝ったタメシがない。

豊島与志雄、川端康成、村松梢風、榊山潤、尾崎一雄、火野葦平、梅崎春生、私なぞと名ばかりの有段者がズラリとそろっていて、上は何段か知れないけれども、相当の高段を奪取した猛者もいるようだ。私が二段になったときいて、初段の火野葦平は日本棋院へ訴状を送り

「自分は安吾二段を白番で大破せしめた記録があるから三段をよこせ」

と食い下がって、ついに物にしたらしい。