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あすはてんきになれ
明日は天気になれ
「西日本新聞 第二四九四六号~第二五〇四六号」1953(昭和28)年1月2日~4月13日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 114,679 字 · 228 页
彼は天性ウナギに徹した誠実な職人であるが、したがって彼は保守家でもあり、万太郎宗匠の親友でもあるから、私が新カナヅカイで物を書くのが気に入らないのである。
「ドジョウという字はアッシの子供の時分はドゼウとカナで書いたもので、ドゼウときまったものでしたよ」
彼はこういって私の新カナヅカイに抗議を申しこんだ。他のいかなる引例も用いないで、ウナギの親類のドゼウだけを引いてきたのはさすがにアッパレと申さなければならない。
たしかにドジョウは明治時代はドゼウとカナをふったもので、今でも駒形の有名なドジョウ屋の看板には「どぜう」とある。
けれども江戸以前にはむしろ「どでう」と書いたのが多い。
「どでう」と「どぜう」とどちらが正しいかをきめるのは困難で、したがって「ドジョウ」がいけないという根拠もなかろう。
篤学で名のある作家に「かげらふ」という作品がある。
この「かげらふ」は蜻蛉の意であるが、昔は陽炎を「かぎろひ」といった。その「かぎろひ」のはかなさにたとえて蜻蛉の「かげろふ」の名もできたものらしいから、語源的にも「かげろふ」は「ろ」であって、「ら」ではないことがハッキリしているようだ。