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あすはてんきになれ
明日は天気になれ
「西日本新聞 第二四九四六号~第二五〇四六号」1953(昭和28)年1月2日~4月13日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 114,679 字 · 228 页
ところが、ここにアンコウのドブ煮という奇怪な食べ物があって、これは日本の食べ物の中の絶品という気がするのである。
ちょうど去年の今ごろ、銚子の船長から、このアンコウのドブ煮をもらった。
銚子港で船といえば漁船のことで、船長とは漁師のカシラ以外の何者でもない。アンコウのドブ煮とは、銚子の漁師の食べ物なのだ。
アンコウは普通長さ一メートル余、幅一尺余、平たく、まるく、ノッペラボーの化け物のような大魚であるが、こいつを一匹マルマル全部食ってしまう。何物も残さずに食いあげてしまうのだから、とても一般家庭で食べるわけにいかない食べ方である。
アンコウの身のうまいところと、臓物のうまいところだけ、まず取りわける。残ったのを骨も皮も肉も臓物も頭も一しょくたに、たたきつぶし、すりつぶし、つぶしにつぶし、しぼりにしぼって汁をとる。
この汁にミソを入れ、さきに取りわけておいた身と臓物のうまいところをグツグツ煮て食うのである。野菜を入れるならネギがよい。
つまり、汁も身も全部アンコウで、他にミソを使う以外には一てきの水すらも使用することがない。
コッテリと複雑微妙、実にうまい食べ物だ。