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あすはてんきになれ

明日は天気になれ

坂口 安吾

「西日本新聞 第二四九四六号~第二五〇四六号」1953(昭和28)年1月2日~4月13日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 114,679 字 · 228 页

青空文庫

しかし、天才とは狂気の同義語でもあって、ヒットラー狂人説を否定することも不可能であろう。

だいたいにおいて一代にして名をなした独裁者のような偉大な成り上り者は概ね天才的な人物であるから狂人と紙一重の危険人物と考えてよろしいかと思う。

したがって、彼なくしては為しがたかったような建設的な業績を残す代りに、狂気の所産を置きミヤゲにする場合もすくなくない。歴史を読んでいると、ここのところは狂気の所産と判断せざるを得ない場合を見出すことが多いものである。

歴史的に考えても、独裁者は概ね狂人的と見てよろしいようだ。そのために、せっかくの業績をのこしながら自らをもまた人民の生活をも破滅にみちびいている場合が少くない。

要するに、独裁という様式が、彼の天才を生かし易い代りに、彼の狂気をも生かし易いところに欠点があるのであろう。狂気を押えるブレーキの機構を設ければ、彼の天才を押えるブレーキにもなり易いから、とかくヤリクリは面倒なものだ。

日本の独裁者で誰がどのような狂気を行っているかというと、まず豊臣秀吉の朝鮮征伐をあげることができる。

秀吉は愛児鶴松を失ったときに発狂状態になった。