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あすはてんきになれ
明日は天気になれ
「西日本新聞 第二四九四六号~第二五〇四六号」1953(昭和28)年1月2日~4月13日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 114,679 字 · 228 页
どうせ一度で終りになるのはわかっている。交替に演壇に上がって演説するのと違って、銘々が自分の席でしゃべる。文士は演説的にしゃべるように心得がないところへ芥川賞の選考委員は選りに選って言葉のはっきりしないのが揃っている。
宇野浩二氏のように一間離れても聞きとれないようなひとりごとをつぶやくような人もいるし、全然他人の発言と連絡なく電光石火の一言を叫んだと思うと沈黙してしばし語らぬ人もいるし、しかもそれらの議論が一名ずつ別個に行われるわけではなくて「それもある」と合槌を打つ人「それはつまらん」吐き捨てるようにつぶやく人。同時にいろいろの雑音が重なり起って、しかも、それを単に雑音と思うと大間違いで、それはつまらん、というつぶやきがその人の掛値なしの全部の意見であったりするから、それを録音で聞きとることができる道理がないのである。
なにがなにやらわからないという見本までに一応録音してみるのもお慰みかと思うが、主催者の日本文学振興会では、技術的に録音不可能の理由で拒絶したとの話であった。その方が怪音を未然に防いで、なお結構であったろう。
文士というものは、筆の上で偽わることのできないのが持って生まれた性根なのだから、各選者の選後評というものを読めば、選考事情はそれで一目瞭然なのである。