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あすはてんきになれ
明日は天気になれ
「西日本新聞 第二四九四六号~第二五〇四六号」1953(昭和28)年1月2日~4月13日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 114,679 字 · 228 页
バカバカしいといったって、これぐらいバカバカしい対局があったものではない。あのときは、呉清源がまだジコーサマのお弟子のころであった。
二人の対局棋士と観戦記者の私の三人は対局の前夜七時までに東京小石川のモミヂという対局場の旅館に集合して、その晩から対局の終るまでまる四日間門外不出カンヅメになる規定になっていた。
このカンヅメは呉清源からの申出によるもので、呉清源がなぜこのような申出をしたかというと、今から二十年ほど前に当時五段の呉清源と本因坊秀哉名人とが対局したことがある。このとき呉清源必勝の局面が打ち掛けになったとき、坊門の棋士が総勢集まって研究し、前田六段(当時)がついに起死回生の名手を発見し、そのために碁がひっくり返って本因坊の二目勝になったという秘史があるからなのである。
本因坊戦にはこういう因縁があるから、呉清源が要心深く対局者の門外不出絶対カンヅメを厳重に申出たのはモットモなことでもあった。
ついでに観戦記者の私までがカンヅメになる必要はなさそうなものだが、私は一歩門外にでると、銀座へ消えるか、新宿へ消えるか、消えたが最後二、三日は行方不明という悪癖があって、碁の因縁とは関係のない理由によってカンキン状態にされてしまったのである。