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Japanische Klassiker mit Furigana

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ちけむりてんめいじん

血煙天明陣

国枝 史郎

Lesen Sie 血煙天明陣 (ちけむりてんめいじん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 191.184 Zeichen · 379 Bildschirme

Aozora Bunko

「いったというか!」

「いいましてござる」

「酷烈! おのれ、例によって!」

怒った冬次郎いつもの癇癖、足で床板踏み鳴らしたが、

「不愍ながらも勘助の命、そちの命と釣り代えよう! そちに代わった命と知ったら、あの世で成仏するであろうぞ! ……が、二刻にはまだ間がある。……二、三それ前に汝に訊く! ……高阪郡兵衛殺したか?」

「高阪郡兵衛? 郡兵衛とは?」

「畳の上に、松の幹に、汝突き刺した刀の主よ」

「殿よりつかわされたる忍術の刺客?」

「田沼刺そうと望んで行った彼じゃ!」

「高阪氏と申されまするか。……彼のものとわたくし途中にて出逢い……」

「殺しおったな! 汝が汝が!」

「技を比べて屈折いたし……」

「殺しおったな! 殺しおったな!」

「誠実の烈士と見受けましたれば恥じて腹など切られては……」

「…………」

「惜しくもあれば不愍と存じ、両刀あずかり雨中に残し、……されば現在も高阪氏、雨にうたれ、野の中に……、殿、貝十郎はあたら武士を、益なく手にかけ討ち果たすごとき、無慈悲の人間にはござりませぬぞ!」

十七

ゴックリ冬次郎は唾を呑んだ。そうして思わず頭を下げた。

「貝十郎、礼いうぞ! さすがはその方、立派な振る舞い! ……それにいたしても二本の刀を、畳や木立に突き刺したは?」