Classiques japonais avec furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Lisez 親鸞 (しんらん) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 566 138 caractères · 1127 écrans
二
さまざまに、人を想い、郷を想い、年暮の日と共に、心も忙しない。
だが――そういう彼の気ぶりや、弟子たちの支度を見て、慈父を失うように悲しみだしたのは、国司の萩原年景をはじめ、この国の頑是ない土民たちであった。
「上人さまは、お帰りになるそうじゃ」
「ほんまか」
「どうして、この片田舎に、御赦免の後まで、お在でになろう」彼らは、そう聞くと、日ごとに庵へやって来て、
「せめて、もう一年」と、拝むばかりに、引き止めるのであった。
親鸞は、そういう頑是ない土民には、何とも振り切り難い弱さを持っていた。土着の人々の切ない気持も無下にできない気がして、初春には、北国を立つつもりでいた予定を云い出しかねていた。
そしてつい、正月は、小丸山の庵室で迎えた。
ここへ来てから四年になる罪の黒髪は、もう肩にかかるほど伸びていた。今は、晴れてそれを剃り落すことのできる身となった。その剃刀の日を、親鸞は、元日に選んだ。
西仏が、剃刀を取った。弟子たちは、居ながれて、劇的な感激に打たれながら、新しい親鸞のすがたを見出していた。今年、親鸞は、四十の年を迎えたのである。孔子のいった――四十にして不惑の年へ彼もかかったのである。