Classiques japonais avec furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Lisez 親鸞 (しんらん) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 566 138 caractères · 1127 écrans
六
「? ……」ハッと身を竦ませた。
「気どられたかな?」彼は、いつもの不敵なたましいを失って、疑心暗鬼の眼を、床下から上げた。
すると――案のじょうである。廊下のうえをギシギシと誰か踏む音がした。そして、戸の開く音がしたと思うと、
「たわけ者っ」外へ向って一喝した者がある。錆のある太い坂東声だ。
四郎は、ぎょっとして、息を嚥んだ。僧房とはいえ、吉水の門下には、熊谷蓮生房とよぶ関東武者の果てや、その他、源平の役で働いた名だたる侍の末が幾人も剃髪しているとはかねて聞き及ぶ所である。
(――そんな奴に捕っては)首をすくめて、
(駄目だ)ついに、気を挫いてしまった。
それから二日ほど経った白昼である。冬も、昼中は暖かかった。上人はまた、病中の由で、きょうはお顔が拝まれまいと噂していたが、吉水の法筵に、老幼にもわかるようなやさしい法話の会があると聞いて、ぞろぞろと、在家の人々が集まった。
つい四、五年前までは、そういう法話を催しても、百人か二百人がせいぜいしか寄らなかったが、近ごろでは、吉水に幾日の日にと、分りさえすれば、洛外の遠い土地から、百姓たちまでが、話を聞きに来るので、講堂や僧房の全部をあげて、その日は、民衆たちへ開放することになっていた。