轻松读懂日语经典作品
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かんかんむしはうたう
かんかん虫は唄う
吉川 英治
「週刊朝日」1930(昭和5)年10月号~1931(昭和6)年2月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 91,006 字 · 182 页
「崇拝はせんよ、勲章を佩げた鴨をつかまえんじゃ、大きな実業家にはなれやせん。知己は、上に求むべきものさ。たとえば、将来おまえのお聟を探すにしても」
「わたし、勲章を下げた人、嫌いだわ」
「そうとも、お金持の方が、遥かにええ」
「金持なんか、なお嫌い」
「じゃ、貧乏人になりたいのか」
「働く人が好き。ねエ、おばさん、船渠へ行ってみて、わたし初めて、金持の悲哀を知ったわ、あの、汗みどろになった職工の顔や、ハンマーの音を聞いてさえ、物が美味しく食べられそうな気がしやしない?」
「ま、変っているのね、奈都子さんは。わたしは、気持がわるくって、しじゅう鼻を抑えていたほどなのに」
「それみろ、あんな所へ連れて行くから、すぐペスト菌にたかられて来おる。それよか、ぼつぼつ支度をしなさい」
「千歳は、お見合せになったんでしょう」
「わしにも、招待状が来ておるから、グランドホテルの方へ出席してみよう、大隈伯にも、そんな場所で顔を知って戴いてからの方が都合がええ、――槙も、おまえも、うんと盛装せい、伯は派手好きじゃという話だから」
各の朝湯と化粧に、三時間ぐらい費やされた。首だけ粧ったところで、万珍楼の支那料理をとって昼食がすむ。