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あすはてんきになれ
明日は天気になれ
「西日本新聞 第二四九四六号~第二五〇四六号」1953(昭和28)年1月2日~4月13日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 114,679 字 · 228 页
アルジの計理士もすこぶるの好人物で、赤面恐怖症という持病だ。ちょっとのことで赤面して物がいえなくなってしまう。今なら計理士のつとまるはずがないが当時は平和で税金と人間の関係なぞも平和であったから、こういう計理士が存在した。忙しくなると、どこからかソロバンの達者な十三ぐらいの子供が一人加勢に現われてネジバチ巻でパチパチやってる。アルジは独身であった。
ところが月末になると、アルジはきまったように姿を消す。親類に病人ができたとか、オヤジが急病だとかと云って、
「ちょッと、たのんまッさ」
と云って一週間ぐらい消え失せてしまう。月が変って二三日目にお酒で赤い顔をしてヒョッコリ戻ってきて、
「嵐山は見ごろどッせ。いッといでやす」
必ず風流なことを云う。今月は宇治の茶ツミがどうだとか、というような風流なことを必ず云う。
ところが、彼の留守中、私は多忙をきわめるのだ。月末の借金取りのヒンパンにやってくること。京都は今もって義理堅いのか、この借金取りも月末すぎるとピタリと来なくなる。すると彼が戻ってきて、風流なことを云うのであった。私は二円の家賃を払って借金とりの言いわけ役に住込んだようなものだった。