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あすはてんきになれ
明日は天気になれ
「西日本新聞 第二四九四六号~第二五〇四六号」1953(昭和28)年1月2日~4月13日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 114,679 字 · 228 页
客がたのまなくとも「半分」しか売らない。つまり、はじめから半分の値でコップ一パイナミナミとうる。これを定法としたのである。
財布の軽い飲み助にとっては、これだけでも大そうな魅力で、五十銭銀貨一枚握って存分に飲めたものである。イカの塩カラを山盛りにした大ドンブリが各テーブルに備えてあって、客は立ったままコップを握り勝手に塩カラをつまんでのむ。
茨城県の利根川べり、取手界隈ではこの居酒屋のコップ酒を「トンパチ」という。この辺では昔からの通称らしい。トンパチは「当八」の意だと土地の連中は云っている。
つまり一升を一合ずつ売れば十パイになるのが当り前だが、オマケをつけて盛りをよくするから一升を八パイで売ってしまう。一升が八パイ当りで盛りがよいから当八だというのである。
村の飲み助どもは
「トンパチやんべい」
といって居酒屋へ集ってくる。たいがいの人は酔うと仕事の上の自慢話をして酒をのむものであるが、農夫たちはオレの畑のナスは日本一のナスだぞ、というような話は決してしない。
「ナンダ、吉田の政治は。オレを総理大臣にしてみろ。なア、そうだろう」
なぞと気焔をあげるのが普通である。