Japanische Klassiker mit Furigana
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さんごくし
三国志(一)
吉川 英治
Lesen Sie 三国志(一) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 309.839 Zeichen · 622 Bildschirme
生死一川
一
「おうっ、驕慢児曹操っ。野望の夢もいま醒めたろう。笑止や、主にそむいた亡恩の天罰、思い知るがいい」
呂布は、死にもの狂いの曹操を雑兵の囲みにまかせて、自分は小高い所から眺めていた。
生死一川
一
曹操は、見つけて、
「おのれ、あれなるは、たしかに呂布」と、さえぎる雑兵を蹴ちらして、呂布の立っている高地へ近づこうとしたが、董卓直参の李が、横合いの沢から一群を率いてどっと馳けおり、
「曹操を生擒れ」
「曹操を逃がすな」
「曹操こそ、乱賊の主魁ぞ」
と、口々に呼ばわって、伏兵の大軍すべて、彼ひとりを目標に渦まいた。
八方の沢や崖から飛んでくる矢も、彼の前後をつつむ剣も戟も、みな彼一身に集まった。
しかも曹操の身は今や、まったく危地に墜ちていた。うまうまと敵の策中にその生殺を捉われてしまった。
――君は戦国の奸雄だ。
と、予言されて、むしろ本望なりとかつてみずから祝した驕慢児も、今は、絶体絶命とはなった。
奇才縦横、その熱舌と気魄をもって、白面の一空拳よく十八ヵ国の諸侯をうごかし、ついに、董卓をして洛陽を捨てるのやむなきにまで――その鬼謀は実現を見たが――彼の夢はやはり白面青年の夢でしかなく、はかない現実の末路を遂げてしまうのであろうか。