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Japanische Klassiker mit Furigana

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さんごくし

三国志(一)

吉川 英治

Lesen Sie 三国志(一) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 309.839 Zeichen · 622 Bildschirme

Aozora Bunko

五

「いぶかしい人だ」

彼は、督郵の随員に、そっと一室で面会を求めた。

そして、何で勅使が、ご不興なのであろうかと、原因をきいてみた。

随員の下吏は、

「それや、あんた知れきっているじゃありませんか、なぜ今日、督郵閣下の前に出る時、賄賂の金帛を、自分の姿ほども積んでお見せしなかったんです。そしてわれわれ随員にも、それ相当のことを、いちはやく袖の下からすることが肝腎ですよ。何よりの歓迎というもんですな。ですからいったでしょう督郵様も、いかに遇するか心を見ておるぞよってね」

玄徳は、唖然として、私館へ帰って行った。

五

私館へ帰っても、彼は、怏々と楽しまぬ顔いろであった。

「県の土民は、みな貧しい者ばかりだ。しかも一定の税は徴収して、中央へ送らなければならぬ。その上、なんで巡察の勅使や、大勢の随員に、彼らの満足するような賄賂を贈る余裕があろう。賄賂も土民の汗あぶらから出さねばならぬに、よくほかの県吏には、そんなことができるものだ」

玄徳は、嘆息した。

次の日になっても、玄徳のほうからなんの贈り物もこないので、督郵は、

「県吏をよべ」と、他の吏人を呼びつけ、

「尉玄徳は、不埓な漢である。