Japanische Klassiker mit Furigana
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さんごくし
三国志(一)
吉川 英治
Lesen Sie 三国志(一) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 309.839 Zeichen · 622 Bildschirme
三
その白旗に、口の字が二つ並べて書いてあった。
「なんじゃ、あれは」
董卓が、李粛へ問うと、
「気の狂った祈祷師です」と、彼は答えた。
口の字を二つ重ねると「呂」の字になる。董卓はふと、呂布のことが気になった。鳳儀亭で貂蝉と密会していた彼のすがたが思い出されていやな気もちになった。
――と、もうその時、儀杖の先頭は、宮中の北掖門へさしかかっていた。
三
禁門の掟なので、董卓も、儀仗の兵士をすべて、北掖門にとどめて、そこから先は、二十名の武士に車を押させて、禁廷へ進んだ。
「やっ?」
董卓は、車の内でさけんだ。
見れば、王允と黄の二人が、剣を執って、殿門の両側に立っているではないか。
彼は、何か異様な空気を感じたのであろう。突然、
「李粛李粛。――彼らが、抜剣して立っているのは如何なるわけか」
と、呶鳴った。
すると、李粛は車の後ろで、
「されば、閻王の旨により、太師を冥府へ送らんとて、はや迎えに参っているものとおぼえたりっ」
と、大声で答えた。
董卓は、仰天して、
「な、なんじゃと?」
膝を起そうとした途端に、李粛は、それっと懸け声して、彼の車をぐわらぐわらと前方へ押し進めた。