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Japanische Klassiker mit Furigana

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さんごくし

三国志(一)

吉川 英治

Lesen Sie 三国志(一) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 309.839 Zeichen · 622 Bildschirme

Aozora Bunko

七

蔡瑁は、口ほどもなく、みじめな残兵と共に、襄陽城へ逃げ帰って来た。

七

大兵を損じたばかりか、おめおめ逃げ帰って来た蔡瑁を見ると、初めに、劉表の前で、卑怯者のようにいい負かされた良は、

「それみたことか」と、面罵して怒った。

蔡瑁は、面目なげに、謝ったが※(「萠+りっとう」、第3水準1-91-14)良は、

「わが計事を用いないで、こういう大敗を招いたからには、責めを負うのが当然である」

と、軍法に照らして、その首を刎ねん――と太守へ申し出た。

劉表は、困った顔して、

「いや今は、一人の命も、むだにはできない場合だから」

と、なだめて、ついに、彼を斬ることは許さなかった。

――というのは、蔡瑁の妹は絶世の美人であって、近ごろ劉表は、その妹をひどく愛していたからであった。

良も、ぜひなく黙ってしまった。大義と閨門とはいつも相剋し葛藤する――。が、今は争ってもいられない場合だった。

「頼むは、天嶮と、袁紹の救援あるのみ」

と、※(「萠+りっとう」、第3水準1-91-14)良は、悲壮な決心で、城の防備にかかった。

この襄陽の城は、山を負い、水をめぐらしている。

荊州の嶮。