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Japanische Klassiker mit Furigana

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さんごくし

三国志(一)

吉川 英治

Lesen Sie 三国志(一) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 309.839 Zeichen · 622 Bildschirme

Aozora Bunko

二

と、祷って去った。

「ご気分はいかがです」と、誰かその後から帳をうかがう者があった。

呂布であった。

董卓は、彼を見ると、やはり気強くなった。

「オオ、いつもわしの身辺を護っていてくれるな」

「大事なお体ですから」

「わしが位についたら、そちには何をもって酬いようかな。そうだ、兵馬の総督を任命してやろう」

「ありがとうございます」

呂布は、常のように戟を抱え、彼の室外に立って、夜もすがら忠実に護衛していた。

二

その夜は、さすがに彼も、婦女を寝室におかず、眠りの清浄を守った。

けれど、明日は、九五の位をうける身かと思うと、心気昂ぶって、容易に眠りつけない様子だった。

――と、室の外を。

戛。戛。

と、誰か歩く靴音がする。

むくと、身を起し、

「誰かっ」と咎めると、帳の外に、まだ起きていた李粛が、

「呂布が見廻っているのです」と、答えた。

「呂布か……」

そう聞くと、彼はすっかり安心してかすかに鼾をかき始めたが、また、眼をさまして、しきりと、耳をそばだてている。

――遠く、深夜の街に、子どもらの謡う童歌が聞えた。

青々、千里の草も

眼に青けれど

運命の風ふかば

十日の下は

生き得まじ