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Japanische Klassiker mit Furigana

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さんごくし

三国志(一)

吉川 英治

Lesen Sie 三国志(一) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 309.839 Zeichen · 622 Bildschirme

Aozora Bunko

九

「……そうか」

うなずくと曹操はにわかに苦しみ始めた。安心すると同時に半身の大火傷の痛みも分ってきたのである。

九

夜は白々と明けた。

将も兵もちりぢりばらばらに味方の砦へ帰って来た。どの顔も、どの姿も、惨憺たる敗北の血と泥にまみれている。

しかも、生きて還ったのは、全軍の半分にも足らなかったのである。

そこへ、悪来と夏侯淵に扶けられた曹操が、馬の鞍に抱えられて帰ってきたので、全軍の士気は墓場のように銷沈してしまい、滅失の色深い陣営は、旗さえ朝露重たげにうなだれていた。

「何。将軍が戦傷なされたと?」

「ご重傷か」

「どんなご容体か」

聞き伝えた幕僚の将校たちは、曹操の抱えこまれた陣幕の内へ、どやどやと群れ寄ってきた。

「しッ……」

「静かに」

と、中の者に制されて、なにかぎょっとしたものを胸に受けながら、将校たちは急に厳粛な無言を守り合っていた。

手当てに来ていた典医がそっと戻って行った。典医の顔も憂色に満ちている。それを見ただけで、幕僚たちは胸が迫ってきた。

――すると、突然幕のうちで、

「わははは、あははは」

曹操の笑う声がした。

しかも、平常よりも快活な声だ。