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Japanische Klassiker mit Furigana

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さんごくし

三国志(一)

吉川 英治

Lesen Sie 三国志(一) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 309.839 Zeichen · 622 Bildschirme

Aozora Bunko

四

――わしの寵姫へ、みだらなことをしかけようとしたろう」

「そんなことはしません」

「ではなぜ、屏風の内へはいろうとしたか。いつまで、そんな所に物欲しそうにまごついているか」

「…………」

呂布は、いい訳に窮して、真っ蒼な顔してうつ向いた。

彼は、弁才の士ではない。また、機知なども持ち合わせない人間である。それだけに、こう責めつけられると、進退きわまったかの如く、惨澹たる唇を噛むばかりだった。

「不届き者めッ、恩寵を加えれば恩寵に狎れて、身のほどもわきまえずにどこまでもツケ上がりおる! 向後は予の室へ、一歩でもはいると承知せぬぞ。いや、沙汰あるまで自邸で謹慎しておれ。――退がらぬかっ。これ、誰かある、呂布をおい出せ」

と、董卓の怒りは甚しく、口を極めて罵った。

どやどやと、室外に、武将や護衛の力者たちの跫音が馳け集まった。――が、呂布は、その手を待たず、

「もう、来ません!」

云い放って、自分からさっと、室の外へ出て行った。

ほとんど、入れちがいに、

「何です? 何か起ったのですか」と、李儒が入ってきた。

まだ怒りの冷めない董卓は、火のような感情のまま、呂布が、この病室で、自分の寵姫に戯れようとした罪を、外道を憎むように唾して語った。