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Japanische Klassiker mit Furigana

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さんごくし

三国志(一)

吉川 英治

Lesen Sie 三国志(一) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 309.839 Zeichen · 622 Bildschirme

Aozora Bunko

二

弘農王は、涙の中に、

ああ、天道は易れり

人の道もあらじ

万乗の位をすてて

われ何ぞ安からん

臣に迫られて命はせまる

ただ潸々、涙あるのみ

と、悲歌をうたってそれへ泣きもだえた。

太后は、はったと李儒を睨めつけて、

「国賊! 匹夫! おまえ達の滅亡も、決して長い先ではありませぬぞ。――ああ兄の何進が愚かなため、こんな獣どもを都へ呼び入れてしまったのだ」

罵り狂うのを、李儒はやかましいとばかり、その襟がみをつかみ寄せて、高楼の欄から投げ落してしまった。

二

「どうしたか」

董卓は美酒を飲みながら、李儒の吉左右を待っていた。

やがて李儒は、袍を血まみれに汚して戻ってきたが、いきなり提げていた二つの首を突きだして、

「相国、ご命令通り致してきました」と、いった。

弘農王の首と、何太后の首であった。

二つとも首は眼をふさいでいたが、その眼がかっと開いて、今にも飛びつきそうに、董卓には見えた。

さすがに眉をひそめて、

「そんな物、見せんでもいい。城外へ埋めてしまえ」

それから彼は、日夜、大酒をあおって、禁中の宮内官といい、後宮の女官といい、気に入らぬ者は立ちどころに殺し、夜は天子の床に横たわって春眠をむさぼった。