Japanische Klassiker mit Furigana
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さんごくし
三国志(一)
吉川 英治
Lesen Sie 三国志(一) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 309.839 Zeichen · 622 Bildschirme
三
三
日々、朝廷に上がって、政務にたずさわっていても、王允はそんなわけで、少しも勤めに気がのらなかった。心中ひとり怏々と悶えを抱いていた。
ところがある日、董相国の息のかかった高官は誰も見えず、皆、前朝廷の旧臣ばかりが一室にいあわせたので、(これぞ、天の与え)とひそかによろこんで、急に座中へ向って誘いかけた。
「実は、今日は、此方の誕生日なのじゃが、どうでしょう、竹裏館の別業のほうへ、諸卿お揃いで駕を枉げてくれませんか」
「ぜひ伺って、公の寿を祝しましょう」
誰も、差支えをいわなかった。
董卓系の人間をのぞいて、水入らずに話したい気持が、期せずして、誰にも鬱していたからであった。
別業の竹裏館へ、王允は先へ帰ってひそかに宴席の支度をしていた。やがて宵から忍びやかに前朝廷の公卿たちが集まった。
時を得ぬ不遇な人々の密会なので、初めからなんとなく、座中はしめっぽい。その上にまた、酒のすすみだした頃、王允は、冷たい杯を見入って、ほろりと涙をこぼした。
見とがめた客の一人が、
「王公。せっかく、およろこびの誕生の宴だというのに、なんで落涙されるのですか」といった。