Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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さんごくし

三国志(一)

吉川 英治

Lesen Sie 三国志(一) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 309.839 Zeichen · 622 Bildschirme

Aozora Bunko

二

歳在二甲子一

天下大吉

○

大賢良師張角

「大方ご覧なさい。ここにもわが党の盟符が貼ってありまさ。この寺も黄巾の仲間に入っている奴ですぜ」

「誰かいるか」

「ところが、いくら呼んでも誰も出てきませんが」

「もう一度、どなってみろ」

「おうい、誰かいねえのか」

――薄暗い堂の中を、どなりながら覗いてみた。何もない堂の真ん中に、曲に腰かけている骨と皮ばかりな老僧がいた。しかし老僧は眠っているのか、死んでいるのか、木乃伊のように、空虚な眼を梁へ向けたまま、寂然と――答えもしない。

二

「やい、老いぼれ」

甘洪は、半月槍の柄で、老僧の脛をなぐった。

老僧は、やっとにぶい眼をあいて、眼の前にいる甘と、馬と、劉青年を見まわした。

「食物があるだろう。おれたちはここで腹支度をするのだ、はやく支度をしろ」

「……ない」

老僧は、蝋のような青白い顔を、力なく振った。

「ない? ――これだけの寺に食物がないはずはねえ。俺たちをなんだと思う。頭髪の黄巾を見ろ。大賢良師張角様の方将、馬元義というものだ。家探しして、もし食物があったら、素ッ首をはね落すがいいか」

「……どうぞ」

老僧は、うなずいた。