Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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さんごくし

三国志(一)

吉川 英治

Lesen Sie 三国志(一) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 309.839 Zeichen · 622 Bildschirme

Aozora Bunko

二

「おれなどはだめだ。武勇もなにもない。ほかの能もないし」

「誰だって、そう能のある者ばかり集まるものか。こう書かなくては、勇ましくないからだよ」

「なるほど」

「憎い黄匪めを討つんだ、槍の持ち方が分らないうちは、馬の飼糧を刈っても軍の手伝いになる。おれは行く」

ひとりがつぶやいて去ると、そのつぶやきに決心を固めたように、二人去り、三人去り、皆、城門の役所のほうへ力のある足で急いで行った。

「…………」

劉備は、時勢の跫音を聞いた。民心のおもむく潮を見た。

――が。蓮根の菓子を手に持ったまま、いつまでも、考えていた。誰もいなくなるまで、高札と睨み合って考えていた。

「……ああ」

気がついて、間がわるそうに、そこから離れかけた。すると、誰か、楊柳のうしろから、

「若人。待ち給え」

と、呼んだ者があった。

二

さっきから楊柳の下に腰かけて、路傍の酒売りを相手に、声高に話していた男のあったことは、劉備も知っていた。

自分の容子を、横目ででも見ていたのだろうか、二、三歩、高札から足を退けると、

「貴公、それを読んだか」

片手に、酒杯を持ち、片手に剣の把を握って不意に起ってきたのである。