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Japanische Klassiker mit Furigana

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さんごくし

三国志(一)

吉川 英治

Lesen Sie 三国志(一) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 309.839 Zeichen · 622 Bildschirme

Aozora Bunko

五

これがそもそもの、黄巾党の起りだとある。初め張角が、常に、結髪を黄色い巾でつつんでいたので、その風が全軍にひろまって、いつか党員の徽章となったものである。

五

また、黄巾軍の徒党は、全軍の旗もすべて黄色を用い、その大旆には、

蒼天已死

黄夫当レ立

歳在二甲子一

天下大吉

という宣文を書き、党の楽謡部は、その宣文に、童歌風のやさしい作曲をつけて、党兵に唄わせ、部落や村々の地方から郡、県、市、都へと熱病のようにうたい流行らせた。

大賢良師張角!

大賢良師張角!

今は、三歳の児童も、その名を知らぬはなく、

(――蒼天スデニ死ス。黄夫マサニ立ツベシ)

と唄った後では、張角の名を囃して、今にも、天上の楽園が地上に実現するような感を民衆に抱かせた。

けれど、黄巾党が跋扈すればするほど、楽土はおろか、一日の安穏も土民の中にはなかった。

張角は自己の勢力に服従してくる愚民どもへは、

(太平を楽しめ)と、逸楽を許し、

(わが世を謳歌せよ)と、暗に掠奪を奨励した。

その代りに、逆らう者は、仮借なく罰し、人間を殺し、財宝を掠めとることが、党の日課だった。

地頭や地方の官吏も、防ぎようはなく、中央の洛陽の王城へ、急を告げることもひんぴんであったが、現下、漢帝の宮中は、頽廃と内争で乱脈をきわめていて、地方へ兵をやるどころではなかった。