Japanische Klassiker mit Furigana
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さんごくし
三国志(一)
吉川 英治
Lesen Sie 三国志(一) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 309.839 Zeichen · 622 Bildschirme
そして、檻車の中に、揺られてくるのは、熊でも豹でもなかった。膝を抱いて、天日に面を俯せている、あわれなる人間であった。
ばらばらっと、先頭から、一名の隊将と、一隊の兵が、馳け抜けてきて、玄徳の一行を、頭から咎めた。
「こらっ、待てっ」というふうにである。
張飛も、ぱっと、玄徳の前へ駒を躍らせて、万一をかばいながら、
「なんだっ、虫けら」と、いい返した。
いわずともよい言葉であったが、潁川以来、とかく官兵の空威ばりに、業腹の煮えていたところなので、つい口をついて出てしまったのである。
石は石を打って、火を発した。
「なんだと、官旗に対して、虫けらといったな」
「礼を知るをもって人倫の始まりという。礼儀をわきまえん奴は、虫けらも同然だ」
「だまれ、われわれは、洛陽の勅使、左豊卿の直属の軍だ。旗を見よ。朝旗が見えんか」
「王城の直軍とあれば、なおさらのことである。俺たちも、武勇奉公を任じる軍人だ。私軍といえど、この旗に対し、こらっ待てとはなんだ。礼をもって問えば、こちらも礼をもって答えてやる。出直してこい」
丈八の蛇矛を斜に構えて、かっとにらみつけた。
官兵はちぢみ上がったものの、虚勢を張ったてまえ、退きもならず、生唾をのんでいた。