Japanische Klassiker mit Furigana
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さんごくし
三国志(一)
吉川 英治
Lesen Sie 三国志(一) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 309.839 Zeichen · 622 Bildschirme
けれど、帝王の命をもって下ってきた勅使であるから、真心をもって、応接した。
そして、ひとまず退がろうとすると、督郵はまた訊いた。
「尉玄徳。いったい卿は、当所の出身の者か、他県から赴任してきたのか」
「されば、自分の郷家は県で、家系は、中山靖王の後胤であります。久しく土民の中にひそんでいましたが、この度ようやく、黄巾の乱に小功あって、当県の尉に叙せられた者であります」
と、いうと、
「こらっ、黙れ」
督郵は、突然、高座から叱るようにどなった。
「中山靖王の後胤であるとかいったな。怪しからんことである。そもそも、このたび、帝がわれわれ臣下に命じて、各地を巡察せしめられたのは、そういう大法螺をふいたり、軍功のある者だなどといつわって、自称豪傑や、自任官職の輩が横行する由を、お聞きになられたからである。汝の如き賤しき者が、天子の宗族などといつわって、愚民に臨んでおるのは、怪しからぬ不敬である。――ただちに帝へ奏聞し奉って、追っての沙汰をいたすであろうぞ。退がれっ」
「……はっ」
「退がれ」
「…………」
玄徳は、唇をうごかしかけて、何かいわんとするふうだったが、益なしと考えたか、黙然と礼をして去った。